薬局勉強会

福岡記念病院の薬局では、毎週1つの薬剤について徹底的に理解するための勉強会を行っています。 ここでは、勉強会のレポートを公開しています。

 
■ ゾフルーザ錠

平成31年1月8日(火)

[講師]塩野義製薬

ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル)は2018年2月に承認された、日本発の抗インフルエンザウイルス薬で、A型およびB型インフルエンザウイルスに対して効果を有する。本剤はキャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害し、インフルエンザが増殖するために必要なタンパク質の合成を阻害することによって効果を発揮する。48 時間以内に服用することが推奨されている。
本剤の用量・用量は40 mgを単回投与、体重が80 kg以上の場合は80 mgを単回投与となっている。12 歳未満の小児への投与は10 kg以上20 kg未満では10 mgを投与、20 kg以上40 kg未満では20 mgを投与、40 kg以上で通常成人量と同量の40 mgを投与となる。散剤については未承認であるため、10 kg未満の小児への使用は不可能である。また、本剤の予防投与への使用は認められていない。
本剤の副作用として、他の抗インフルエンザ治療薬でも報告されているような異常行動が報告されているおり、他にも下痢や悪心などの報告もあるため、患者への注意が必要である。
担当者 徳淵 晶子

 

 

■ アメナリーフ錠

平成31年1月15日(火)

[講師]マルホ

アメナリーフ錠(アメナメビル)は帯状疱疹に適応をもつ非核酸誘導体の抗ヘルペスウイルス薬である。
アメナリーフ錠は非核酸類似体であり、ウイルスのDNA複製に必須な酵素であるヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害することで抗ウイルス作用を示す。既存の経口ヘルペスウイルス薬とは作用機序が異なっているため、核酸類似体であるアシクロビルと交差耐性を示さない。また、アメナリーフ錠は主に糞中に排泄され、腎機能による薬物動態への影響が小さく、クレアチニンクリアランスに応じた投与量設定の必要がない点も特徴とされている。 
アメナリーフ錠は脂溶性が高い薬剤であり、食後投与に比べて空腹時投与でCmax及びAUCが低下する。そのため服薬指導時には用法通りに食後に内服するよう指導する必要がある。
担当者 高瀬 真依

 

 

■ ジャヌビア錠・スージャヌ錠・マリゼフ錠

平成31年1月22日(火)

[講師]MSD

ジャヌビア(一般名:シタグリプチン)、マリゼフ(一般名:オマリグリプチン)はともにDPP-4阻害薬の糖尿病治療薬である。
食事をとり、血糖値が上昇すると小腸よりインクレチン(DPP-4、GIP)というホルモンが分泌され、血糖値を下げるインスリンが分泌される。血中にはインクレチンを分解するDPP-4という酵素が存在している。
この薬剤はDPP-4を阻害することにより、インクレチン濃度を上昇させ、血糖依存的にインスリン分泌を促進させる。
ジャヌビア錠は、シタグリプチンとして50mgを1日1回経口投与する。効果不十分の場合には1日1回100mg増量することができる。
マリゼフ錠は持続性の選択的DPP-4阻害薬であり、オマリグリプチンとして25mgを1週間に1回経口投与する。
ともに腎排拙型薬剤のため、Ccrにより用量調節が必要となっているので注意が必要である。
スージャヌ配合錠(一般名:シタグリプチン/イプラグリフロジンL-プロリン)はDPP-4阻害薬とSGLT-2阻害薬の合剤である。
SGLT-2阻害剤は腎近位尿細管でのグルコース再吸収を阻害し、グルコースを体外に排出させることによって血糖値を下げる働きがある。
糖分が尿中に排出されるため、尿路感染症や性器感染症に注意が必要である。
シタグリプチン、イプラグリフロジンを服用していても効果不十分の患者さんに使用する薬剤であり、1日1回1錠(シタグリプチン50mg/イプラグリフロジン50mg)を朝食前、又は朝食後に経口投与する。
担当者 井上 紗也香

 

 

■ イベニティ皮下注105mgシリンジ

平成31年1月29日(火)

[講師]アステラス

イベニティ皮下注(一般名:ロモソズマブ(遺伝子組み換え))はスクレロスチンに結合し、Wntシグナル伝達の抑制を阻害することで作用を示すヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体である。Wntシグナルとは骨量増加に関わる細胞内シグナル伝達機構のひとつであり、スクレロスチンはWntシグナル伝達を抑制することで、骨量減少を引き起こす。イベニティは骨形成促進作用と骨吸収抑制作用の2つの薬理作用を有することで骨強度の改善が認められる。
イベニティは骨折の危険性の高い骨粗鬆症に適応がある。用法・用量は、成人に対してロモソズマブ210mg(イベニティ1本:ロモソズマブ105mg含有)を1カ月に1回、12ヶ月皮下投与することとなっている。骨抑制効果は12カ月を超えた投与では検証されていない。また、イベニティ投与終了後は原則として適切な骨粗鬆薬による治療を継続することが推奨されている。投与が予定から遅れた場合は可能な限り速やかに投与を行い、以後その投与を基点とし、1カ月間隔で投与する。
低カルシウム血症の患者には禁忌であり、腎機能障害患者(eGFR:30mL/min/1.73m2未満)や透析患者は低カルシウム血症が発現しやすいため、慎重に投与する必要がある。また、顎骨壊死・顎骨骨髄炎が現れることもあるので、十分に観察を行いながら投与する。
担当者 村山 美玖
■ トラディアンス錠

平成30年12月4日(火)

[講師]日本ベーリンガーイーゲルハイム

トラディアンス配合錠はDPP-4阻害薬のトラゼンタ錠とSGLT-2阻害薬のジャディアンス錠との配合錠である。
トラゼンタ錠(一般名:リナグリプチン)はインクレチンを分解する酵素DPP-4を選択的に阻害し、活性型インクレチン濃度を上昇させることにより、血糖依存的な血糖低下作用をもたらす。他のDPP-4阻害薬と異なり胆汁排泄型のため、腎機能による用量調節が不要である。
ジャディアンス錠(一般名:エンパグリフロジン)はSGLT-2を阻害することにより、近位尿細管からのグルコース再吸収を減少させ、尿中へのグルコース排泄を促進し血糖値を低下させる。
これらの異なる作用機序の成分を配合し1剤にすることで、各単剤同士の併用と比較して、服薬アドヒアランスを改善することにより、さらなるHbA1c低下効果が期待できる。
本剤はトラゼンタ錠又はジャディアンス錠単剤服用で血糖コントロール不十分な場合、あるいはトラゼンタ錠及びジャディアンス錠の両剤服用で血糖コントロール安定の場合に用いられる。通常、成人には1日1回1錠を朝食前又は朝食後に経口投与する。
担当者 松岡 里於

 

 

■ ロコアテープ

平成30年12月11日(火)

[講師]帝人ファーマ株式会社

ロコアテープ(一般名:エスフルルビプロフェン・ハッカ油)は変形性膝関節症における鎮痛・消炎に対して適応を有する経皮吸収型鎮痛消炎剤である。
第Ⅲ相試験において、ロコアテープはフルルビプロフェンパップと比して有意に起立時の膝の痛みを改善するという結果が得られた。また、フルルビプロフェンパップと比較して、エスフルルビプロフェンの方が高濃度に滑膜、関節液へ移行することが分かっている。以上のことから、従来の鎮痛消炎貼付剤と比較しても優れた鎮痛・消炎効果を持つ貼付剤であるといえる。
使用上の注意として、本剤を2枚貼付したときの前身暴露量はフルルビプロフェン経口剤の通常量投与時と同程度に達するため1日貼付枚数は最大2枚とし、他の全身作用を有する消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい点が挙げられる。
担当者 林 伊津美

 

 

■ トルリシティ

平成30年12月18日(火)

[講師]大日本住友製薬

トルリシティは、GLP-1受容体作動薬であり、週1回皮下注射する。GLP-1は食事をとったときに小腸から分泌されて膵臓に運ばれ、そこでインスリンを出すように働きかける、もともと体内にあるホルモンである。トルシティはGLP-1と同じ働きをするので、膵臓からインスリンを出すのを助ける薬剤である。GLP-1受容体作動薬は空腹時には働かず、食事をとって血糖値が高くなったときに働くため、低血糖を起こしにくいといわれている。ただし、他の血糖値を下げる薬と一緒に使う場合は注意が必要である。トルリシティの効果は1週間続くため、週1回の投与でよい(毎週同じ曜日に投与すること)。投与を忘れた場合は、次の投与日まで3日(72時間)以上ある場合は、すぐに投与してその後はあらかじめ定められた曜日に投与する。次の投与日まで3日未満の場合は、忘れた分をとばして、その後は次のあらかじめ定められた曜日に投与するようにする。
トルリシティは①1本に1回分の量が入っているため、使い切りである②注入ボタンを押すと自動的に皮膚の下に入っていく③空打ちが不要④針は内部に装着されているため、外から見えず、針の取り付け・取り外しが不要であり、操作が簡便である。また、26週間を通じて体重増加が認められなかったというデータもあるため、アドヒアランスの向上が期待できる。
担当者 村山 美玖

 

 

■ ラコールNF配合腸用 半固形剤

平成30年12月25日(火)

[講師]大塚製薬株式会社

半固形栄養とは、「より優しい」経腸栄養管理を求めて考えられた、新しい選択肢である。投与時間の短縮ができ、食事摂取に近いという利点が挙げられる。胃の運動機能が正常であることが半固形栄養の適応となる。摂取した食事は口腔内で咀嚼され半固形状となり、胃内へ送られて貯留する。胃液と混合された食物は、蠕動運動により十二指腸へと排出される。半固形栄養では半固形状の栄養剤が胃内に注入されるので、より食事に近い生理的な栄養方法であると考えられる。
ラコールNF半固形剤は、一般に手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。ただし、経口食により十分な栄養摂取が可能となった場合には速やかに経口食に切り替えることとされている。牛乳タンパクアレルギーのある患者、・腸管の機能が残存していない患者、イレウスの患者、肝・腎障害、糖代謝異常のある患者、先天性アミノ酸代謝異常の患者には禁忌である。通常、成人標準量として1日1200~2000g(1200~2000kcal)を胃ろうより胃内に1日数回に分けて投与する。投与時間は100gあたり2~3分(300g当たり6~9分)とし、1回の最大投与量は600gとされている。初めて投与する場合は、投与後によく観察を行い臨床症状に注意しながら増量して数日で標準量に達するようにする。ラコールNF半固形剤は液体栄養剤と比べると水分量が少ないので、栄養剤の水分含有量と1日の必要水分量を事前に確認し、水分不足にならないよう注意しなければならない。また、半固形剤と薬剤や水分を混合すると、半固形栄養剤の性状が変化し、チューブの詰まりの原因や感染リスクが高まるため混合しないよう注意する。
担当者 村山 美玖