薬局勉強会

福岡記念病院の薬局では、毎週1つの薬剤について徹底的に理解するための勉強会を行っています。 ここでは、勉強会のレポートを公開しています。

 
■ ルセフィ錠
平成29年5月2日(火)
[講師]大正富山医薬品株式会社
ルセフィ錠は日本国内で創薬・開発した選択的ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害作用を有する新規作用機序の2型糖尿病治療薬である。SGLT2を選択的に阻害することにより血中の過剰なグルコースを尿中に排泄させ、血糖低下作用を示す。腎近位尿細管におけるグルコースの再吸収阻害により血糖低下作用を示すという作用機序から、インスリン分泌を介さずに高血糖を是正するため、インスリンの直接作用に起因する副作用の概念が少なく、膵β細胞に負担をかけずに長期的に良好な血糖コントロールが期待できる。
副作用として尿路感染や性器感染を引き起こす恐れがあるため十分な観察を行うなど発症に注意が必要である。また多尿や頻尿がみられ、体液量が減少することがあるので、特に高齢者は脱水や脳梗塞を含む血栓・塞栓症などの発現に十分注意する必要がある。

担当者 加留部 綾子


■ ビソノテープ
平成29年5月9日(火)
[講師]トーアエイヨー
ビソノテープ(ビソプロロール)は経皮吸収型β1受容体遮断薬であり、軽症~中等症の本態性高血圧に適応をもつ。ビソノテープは同薬の内服薬と比較し、最高血中濃度到達時間が長い。そのため、内服薬よりも投与後のめまい・ふらつき等の副作用が生じにくいという利点がある。
内服薬からの切り替えは、ビソプロロール錠2.5mg内服に対してビソノテープ4mg使用が目安となっている。ビソノテープは4mgより低用量の規格は販売されていないが、4mgの規格のものを半分に切断して使用することで2mgに減量して使用することができる。切断することによって血中動態は変化しない。しかし、切断することで剥がれやすくなる可能性があるため、上からテープで補強して貼付する等の工夫が必要となる。

担当者 高瀬 真依


■ リクシアナ錠
平成29年5月16日(火)
[講師]第一三共株式会社
リクシアナは経口FXa阻害剤でDOAC(直接的経口抗凝固薬)の1つに分類される。
リクシアナは非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制に適応をもち、他のDOACとは違い、いずれの場合も用法・用量は共通しているため、使いやすい薬剤であるといえる。また、血中濃度の上昇が速いため、ヘパリン等の注射からの早期切り替えが可能である。用量調整基準は体重(60kg以下)、CLCR(50mL/min以下)、P糖蛋白阻害作用を有する薬剤の併用の大きく3つであり、これらを考慮しながらリクシアナの投与量を決める必要がある。

担当者 国武 香奈


■ トルリシティ皮下注
平成29年5月23日(火)
[講師]大日本住友製薬株式会社
トルリシティ(一般名:デュラグルチド)はGLP-1受容体作動薬であり、GLP-1受容体を介してアデニル酸シクラーゼを活性化させ、膵β細胞内のcAMP濃度を増加させる。その結果、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を亢進する。主な特徴として、週1回投与によって安定で持続的な効果が期待でき、何より患者の自己注射の負担軽減につながる。また1回使い切り製剤で別途に針を用意する必要がなく、ボタンを押すと自動的に注入できるため操作が比較的簡単な製剤である。また、優れた血糖低下作用が臨床試験において示されている。週1回投与のトルリシティと1日1回投与のインスリングラルギンを比較した試験において、インスリングラルギンに比べHbA1cが有意に低下したことが報告され、インスリングラルギンに対する非劣性が示された。安全性においては、他の血糖降下薬と同様に低血糖に注意しなくてはいけない。悪心・嘔吐を含む胃腸障害が投与初期に多く認められるが、回数を重ねるごとに発現頻度は低下する。

担当者 岡崎 佳菜子


■ リコモジュリン点滴静注用12800
平成29年5月30日(火)
[講師]旭化成ファーマ
リコモジュリンは世界初の遺伝子組換えヒトトロンボモジュリンであり、汎発性血管内血液凝固症(DIC)に適応をもつ血液凝固阻止剤である。リコモジュリンはトロンビン生成阻害作用とトロンビン直接阻害作用を示し、凝固と炎症に作用することで、DICから離脱・改善させることが出来る。第Ⅲ相臨床試験においても対象薬に対し、DIC離脱率で優越性が示されている。
通常1日1回380U/kgを約30分かけて点滴静注することで、効果を発揮する。なお、重篤な腎障害を有する患者においては、減量の対象となり、患者の症状に応じ適宜130U/kgに減量して投与する必要がある。

担当者 国武 香奈


■ イーケプラ注
平成29年4月11日(火)
[講師]大塚製薬
てんかんとは、突然脳の神経細胞に発生する過剰な電気的興奮により繰り返す発作を特徴とする脳の慢性疾患である。発症率は人口100人のうち0.5〜1人、年齢層は乳幼児期から老年期までと幅広くみられ、既に多くの抗てんかん薬が活躍している。中でもイーケプラ(レベチラセタム)はそれまでの既存薬とは違い、脳のシナプス小胞タンパク2Aと特異的に結合することで抗てんかん作用をもつ治療薬である。本成分は経口剤の開発後、意識障害・手術などで一時的に経口投与ができない場合を考慮し、治療を継続するための新投与経路医薬品として本剤が開発された。
本剤は経口剤と1日投与量や投与回数は変わらず、切り替える際も用法用量の変更は通常不要である。このためスムーズな切り替えが可能となり、治療の選択の幅は本剤開発により一層広がった。しかし、本剤は経口投与不可の場合の代替療法薬であり、経口投与が可能になった場合は速やに切り替え、漫然と投与し続けないよう注意が必要である。

担当者 糸井 菫


■ リンゼス錠0.25mg
平成29年4月18日(火)
[講師]アステラス製薬株式会社
過敏性腸症候群(IBS)とは「腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態」であり、なかでも便秘が優位なものが便秘型IBSと定義されている。
リンゼス錠(一般名:リナクロチド)は国内初の便秘型IBSを効能・効果とするグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体アゴニストであり、腸管上皮細胞表面に存在するGC-C受容体に作用し、腸管内への水分分泌を促進することにより便通を改善する。また、求心性神経の痛覚過敏を改善することにより腹痛・腹部不快感を改善するという新規作用機序を有する薬剤である。2012年11月に当時新しい便秘症治療薬として発売されたアミティーザカプセル(一般名:ルビプロストン)は腸管上皮細胞表面に存在するクロライドイオンチャンネルに作用し、リンゼス錠と同様に腸管内への水分分泌を促進することにより便通を改善する薬剤であるが、求心性神経に作用しないことがリンゼス錠と異なる点である。また、適応においてもアミティーザカプセルは慢性便秘症であれば全般的に使用が可能であるが、リンゼス錠は便秘型IBSの適応しかないため使用できる患者が限定される点で異なる。
通常、成人にはリンゼス錠として0.5mgを1日1回食前に経口投与する。食前投与である理由として、臨床試験において食前投与よりも食後投与の方が下痢の副作用発現率が高かったためである。重度の下痢(頻度不明)が重大な副作用として報告されており、使用する際は症状の経過を十分観察し、漫然と投与しないよう定期的に投与継続の必要性を検討しなければならない。

担当者 岡崎 佳菜子


■ インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」/BS注カート「リリー」
平成29年4月25日(火)
[講師]日本イーライリリー株式会社
インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」/BS注カート「リリー」は持効型溶解インスリンアナログ製剤である。本剤は標準製剤と同様のアミノ酸配列を有するバイオシミラー(バイオ後続品)であり、充実した臨床試験ならびに非臨床試験により、本剤の標準製剤に対する同等性/同質性が確認されている。標準製剤同様、コンパクトなペン型のデバイスであり、加えて転がりにくい形状のため、多くの患者にとって扱いやすい製剤であるといえる。
本剤は品質特性、有効性及び安全性において、標準製剤と同等であり、かつバイオシミラーであるため、インスリン治療に対する不安要因の一つとされる、"経済的負担"の軽減に大いに貢献することが期待される。

担当者 国武 香奈