薬局勉強会

福岡記念病院の薬局では、毎週1つの薬剤について徹底的に理解するための勉強会を行っています。 ここでは、勉強会のレポートを公開しています。

 

 ルネスタ錠

平成29年12月5日(火)

[講師]エーザイ株式会社

 GABAA受容体は5個のサブユニットからなる五量体で、GABA結合部位はα及びβサブユニットの境界領域に存在する。GABA結合は細胞内へのCl-流入増加により神経細胞膜に過分極をもたらし、神経細胞興奮を抑制させる。

ルネスタ錠(一般名:エスゾピクロン)は、GABAA受容体のαサブユニットに結合する不眠症治療薬である。α1・α2・α3・α5サブユニットのうち、α1サブユニットは睡眠効果よりも鎮静効果が強く、依存形成に関与し、抗けいれん作用や前向性健忘の発現にも関わる。ルネスタ錠は睡眠との関連性が強いα2・α3サブユニットよりもα1サブユニットへの効力が弱いため、不眠症治療薬として理想的な薬理作用を持つと考えられる。

成人原発性不眠症患者を対象とし、睡眠ポリグラフ検査を用いてエスゾピクロン1mg, 2mg, 2.5mg, 3mgをゾルピデム及びプラセボと比較した試験において、睡眠潜時はプラセボと比較して全ての用量で有意に改善した。また、睡眠維持が障害される中途覚醒は3mgでプラセボと有意差があった。以上より成人での臨床用量は1回2mg(高齢者では1回1mg)を1日1回就寝前投与、成人で1回3mg(高齢者で1回2mg)を超えないことと設定された。つまり、入眠効果を要する場合は2mg, 中途覚醒への効果を期待する場合は3mgと、用量調節を容易にできることを示している。

禁忌として特に、筋弛緩作用、眼圧上昇作用による症状悪化の恐れがあるため、重症筋無力症の患者と緑内障の患者が挙げられており、臨床上注意が必要である。また、本剤服用後の朦朧状態、夢遊症状等の睡眠随伴症状について警告が出されている。

担当者 坂本 佳子

 

 

 フェブリク錠

平成29年12月12日(火)

[講師]帝人

 フェブリク錠は一般名をフェブキソスタットという尿酸合成阻害薬である。現在日本において使用されている高尿酸血症治療薬は、尿酸排泄促進薬が3 種類、尿酸合成阻害薬が 2種類であり、本薬剤は後者のなかでも近年我が国において創生された新規の薬剤である。高尿酸血症治療薬を選択する際、腎機能障害がある場合、尿道結石がある場合は、尿酸合成阻害薬が推奨される。

 フェブキソスタットは10 mgより開始することと添付文書に記載されており、これは、急激に尿酸値が低下することで痛風発作が誘発されるためである。投与開始の2 週間以降20 mgへ増量が可能となり、維持用量は40 mgである。また、本薬剤は1 日1 回投与の薬剤であり、良好なアドヒアランスが期待される。フェブキソスタットの使用により、血清尿酸値を6.0 mg/dL以下で維持することによって、痛風発作の発生を抑制することができたと試験結果が報告がされており、本薬剤の使用は高尿酸血症の治療に非常に有意義であることが示唆されている。

 先述したとおり、本薬剤は中程度の腎機能障害を有する患者にも使用することができ、これは代謝・排泄の機構で肝臓と腎臓が同程度関与しているためと推測されている。

 本薬剤はメルカプトプリン、アザチオプリンとの併用が禁忌となっており、これは2剤の代謝酵素であるキサンチンオキシターゼを阻害することでメルカプトプリンの血中濃度が上昇することがアロプリノールで知られているため、同作用機序の本薬剤でも起こりうるためである。

本薬剤は高尿酸血症の治療以外に、がん化学療法に伴う高尿酸血症にも適応があり、この場合は1 日1 回60 mgを経口投与する。

担当者 徳淵 晶子

 

 

 アミティーザカプセル

平成29年12月19日(火)

[講師]マイラン

 アミティーザカプセルは、慢性便秘症に用いられる薬剤である。作用機序として、小腸に存在するクロライドチャネルと呼ばれる腸液の分泌に関わる受容体を活性化し、小腸内への水分分泌を促進させ、便を柔らかくする効果がある。用法用量は、通常、成人にはルビプロストンとして1回24μgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与する。

使用上の注意として、中等度または重度の肝障害のある患者、重度の腎障害のある患者には、活性代謝物の血中濃度が上昇する恐れがあるため慎重投与することとなっている。また、動物実験で胎児喪失が報告されているため、妊娠する可能性のある婦人に投与する場合には妊娠検査を行うなど、妊娠中でないことを確認する必要がある。

アミティーザカプセルの安全性として、主に下痢、悪心、腹痛などの胃腸障害が報告されている。これらの副作用は、主に投与開始後1週間以内に起こる確率が高いため、投与開始直後は注意が必要である。

第Ⅲ相長期投与試験において、アミティーザカプセルは長期(48週)において自発排便回数を増加させ、便の硬さおよび便秘に伴う諸症状を改善することが明らかになった。

また、アミティーザカプセルは慢性便秘症治療ガイドライン2017において、推奨の強さ1(強い推奨)、エビデンスレベルA(質の高いエビデンス)に分類された。

担当者 川渕 崇弘

 

 

 リピディル錠

平成29年12月26日(火)

[講師]科研

 リピディル錠(一般名:フェノフィブラート錠)はPPARαを活性化させることにより、LDLコレステロール、トリグリセリドを低下、そしてHDLコレステロールを上昇させる高脂血症治療剤である。

通常成人にはフェノフィブラートとして1日1回106.6mg~160mgを食後経口投与する。

本剤は腎排泄型であるため、腎機能障害患者に投与する際は注意が必要である。特に血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の患者は横紋筋融解症をおこす可能性があるため禁忌となっている。また、HMG-CoA還元酵素阻害薬との併用により横紋筋融解症発現の危険性が高まるということで腎機能障害患者においては原則併用禁忌となっている。

脂質異常症をもつ2型糖尿病患者を対象とした海外の大規模臨床試験において、シンバスタチン単独投与群とシンバスタチン+リピディル投与群における心血管複合イベント、糖尿病網膜症進展への影響について調査を行ったところ、リピディル併用群は単独投与群に対し心血管複合イベントと糖尿病網膜症の発生を有意に減少させた。このことから、リピディル錠は脂質異常症をもつ糖尿病患者に対し非常に有用な薬剤だといえる。

担当者 松岡 里於

 サインバルタカプセル

平成29年11月7日(火)

[講師]日本イーライリリー株式会社

 サインバルタカプセル(一般名:デュロキセチン塩酸塩カプセル)は、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、脊髄後角におけるセロトニン・ノルアドレナリン濃度を上昇させることで下降性疼痛抑制系の機能を賦活する。糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症、変形性関節症に伴う疼痛に加えてうつ病・うつ状態にも適応を持つが、日本国内では疼痛治療薬としての処方数が多い。

特発性変形性膝関節症、慢性腰痛症、糖尿病性神経障害それぞれに伴う疼痛患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験において、サインバルタはプラセボと比較して、投与後14週までのすべての評価時点で有意に鎮痛効果を示した。また、長期投与試験においては、50週にわたりベースライン時からの有意な低下を示した。以上のことから、サインバルタは慢性的な疼痛に悩まされ、日常生活に支障を来している患者に有用な薬剤であるといえる。

線維筋痛症・慢性腰痛症・変形性関節症に伴う疼痛への投与は1日20mgより開始し、糖尿病性神経障害に伴う疼痛に対しては1日40mgより開始する。いずれの場合も1週間以上の間隔をあけて1日用量として20mgずつ増量し、効果不十分な場合には1日60mgまで増量することができる。

サインバルタの副作用は漸増していく時期よりも投与初期に表出しやすいため注意が必要である。また、急な中止によっても副作用が発生しやすいため、中止する際は用量を漸減していくことが重要である。

担当者 坂本 佳子

 

 

 アメナリーフ錠

平成29年11月14日(火)

[講師]マルホ

 アメナリーフ錠は、日本で開発された非核酸類似体のアメナメビルを有効成分とする新規作用機序の抗ヘルペスウイルス薬である。1錠にアメナメビルを200mg含有するフィルムコーティング剤であり、1日1回2錠(400㎎)を食後に投与することで、帯状疱疹に効果を示す。既存の抗ヘルペスウイルス薬は、1日3回投与が基本であったため、それらの薬剤に比べ服薬回数が減り、患者の負担を軽減することができる。

また、アメナメビルはウイルスのDNA複製に必須であるヘリカーゼ・プライマーゼという酵素の複合体を直接阻害するという新規作用機序をもち、既存薬との交差耐性を示さず、より高い抗ウイルス活性を示す。

 さらに、既存の抗ウイルス薬は主に腎臓で代謝される薬剤が多く、患者の腎機能によって投与量を調整する必要があったが、このアメナメビルは主に糞中に排泄されるため、腎機能による薬物動態への影響が少なく、クレアチニンクリアランスに基づく用量調節が不要であるという特徴がある。よって腎機能が悪い患者にも使いやすいというメリットがある。しかし、肝代謝の薬剤であるため、その他の肝代謝薬物との相互作用に注意しなければならない。

 この薬剤の開発により、今後は患者の状態に合わせた抗ウイルス治療を行うことができるようになると考えられる。

担当者 川渕 崇弘

 

 

 ジャディアンス錠

平成29年11月21日(火)

[講師]日本ベーリンガー

 ジャディアンス錠は一般名をエンパグリフロジンという選択的SGLT2阻害剤であり、2型糖尿病の治療薬に対して用いられる。SGLT2はナトリウム・グルコース共役輸送体で、腎臓の近位尿細管に局在しているであり、SGLT2を阻害することによって尿中への糖の排出を促進し、血糖値を低下させる薬剤である。SGLT2阻害剤は従来の糖尿病治療薬と異なる作用機序を有する一方、脱水や皮膚関連疾患、尿路感染等の副作用が出現することが知られている。

エンパグリフロジンの用法は、服用により尿量が増加することから、夜間の排尿を避けるため他のSGLT2阻害剤と同様に朝食前または朝食後の投与となっている。また、本薬剤の用量増加を行う場合、初期投与量が10 mgであるのに対し、倍量の増量ではなく、25 mgへ増量することが特徴である。また、エンパグリフロジンはSGLT1に対してSGLT2への阻害作用が他の同作用機序の薬剤よりも強いことが示唆されており、それに伴って脱水などの有害事象の発生が生じにくいと考えられている。プラセボとの24 時間平均尿量との比較試験では、投与1 日目ではプラセボに対して尿量の軽度の増加がみられたが、27 日目ではプラセボ投与時と差が見られないことが試験により示されている。また、10 mg 投与した場合と25 mg投与した場合での有害事象の発現頻度に有意差はみられないことが報告されている。

担当者 徳淵 晶子

 

 

 イニシンク配合錠

平成29年11月28日(火)

[講師]武田薬品工業株式会社

 イニシンク配合錠は、選択的DPP-4阻害作用薬のアログリプチン25㎎とビグアナイド系薬のメトホルミン塩酸塩500㎎を含有する糖尿病治療薬である。

イニシンク配合錠は1日1回1錠、食直前又は食後の投与でネシーナ25㎎1日1回とメトホルミン250㎎1日2回の併用療法に劣らない血糖降下作用が認められた。つまり、1日1回の服用で優れた血糖降下作用を示す薬剤であるといえる。

また、糖尿病患者の服用薬剤数について、海外において86.7%の患者が2種類以上の服用をしており、服薬回数が軽減するほどアドヒアランスが向上したというデータが得られている。イニシンク配合錠は2剤の配合剤であり、服薬回数を軽減することでアドヒアランスの向上が期待できる。

イニシンク配合錠は2型糖尿病に対して適応を有するが、第一選択薬として用いることはできない。2型糖尿病患者のうち、ネシーナ(一般名:アログリプチン)25㎎とメトホルミン500㎎を併用して状態が安定している場合、ネシーナ25㎎で効果不十分な場合、メトホルミン500㎎で効果不十分な場合に使用することが出来る。

注意点として、メトホルミンを含有するため乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には禁忌となっていることが挙げられる。

担当者 林 伊津美