薬局勉強会

福岡記念病院の勉強会のレポートをご紹介します。

 
■ 乾燥弱毒生水痘ワクチン
平成29年2月7日(火)
[講師]田辺三菱製薬株式会社
帯状疱疹とは水痘と同じ、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって起こる疾患である。VZVは初期感染では水痘を引き起こすが、治癒後も脊髄後根神経節などに長期間潜伏感染している。そして、加齢やストレス等により免疫機能が低下するとVZVの再活性化して帯状疱疹を発症する。帯状疱疹の発症は50歳以上に多く、約7割を占めている。
今回、小児の水痘予防として広く使用されてきた乾燥弱毒生水痘ワクチンに帯状疱疹予防の効能・効果が追加された。50歳以上の成人に対する帯状疱疹の予防として適適応を取得しており、帯状疱疹の既往歴がある方でも接種は可能である。帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症率への影響を海外で調査されており、乾燥弱毒生水痘ワクチン投与群はプラセボ群と比較し66.5%発症率が低下している。また、帯状疱疹ワクチン接種後、5年間の発症予防効果がみられたとの調査もある。用法用量は水痘予防の場合と同じで添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下注である。

担当者 藤丸 亮


■ ゾシン静注用
平成29年 2月 14日(火)
[講師]大正富山医薬品株式会社
ゾシン注はタゾバクタム・ピペラシリンを配合した、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤であり、グラム陽性菌や、緑膿菌を含むグラム陰性菌から嫌気性菌まで、幅広い抗菌スペクトルと優れた感受性を有する。ゆえに、肺炎をはじめ、敗血症、腎盂腎炎、腹膜炎、胆のう炎・胆管炎、発熱性好中球減少症など、様々な適応症を有する薬剤である。特に、肺炎の中でも、院内肺炎の原因菌の上位を占めるブドウ球菌属や肺炎球菌、緑膿菌に効果を示すことから、院内肺炎治療にゾシン注は極めて有効であるといえる。高齢者の死因の上位に肺炎があり、肺炎の罹患は高齢者にとって生命を脅かす危険があることから、ゾシン注のさらなる使用拡大が期待される。

担当者 国武 香奈


■ フォシーガ錠
平成29年2月21日(火)
[講師]小野薬品
フォシーガ錠(一般名:ダパグリフロジン)は、近位尿細管内のナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)を選択的に阻害することでグルコースの再吸収を抑制し、余剰なグルコースを尿中に排泄することで血糖降下作用を示す糖尿病治療薬である。 フォシーガ錠はDPP-4阻害薬であるシタグリプチンとの比較試験において同等のHbA1c低下効果を示しており、体重、収縮期血圧、sdLDL-コレステロールの低下効果はシタグリプチンよりも高かった。sdLDL-コレステロールはLDL-コレステロールよりも冠動脈疾患のリスクを3倍高めるとされており、これらのことからフォシーガ錠は心血管イベント低下作用も併せ持つといえる。
フォシーガ錠には使用上の注意として「重度の腎機能障害患者・透析中の末期腎不全患者においては効果が期待できないため、投与しないこと、中等度の腎機能障害において十分な効果が得られない可能性があるため投与の必要性を慎重に判断すること」とあり、腎機能を確認したうえでと使用を検討する必要がある。また、副作用としては頻尿や口渇、尿路感染、皮疹・紅斑などが多く報告されている。 現在フォシーガ錠の適応は2型糖尿病のみだが、1型糖尿病への適応拡大を目的とした国際共同第Ⅲ相試験が行われており、今後適応が拡大される可能性がある薬剤である。

担当者 高瀬 真依


■ ネスプ注射液
平成29年2月28日(火)
[講師]協和発酵キリン
ネスプ注射液(一般名:ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)製剤)は腎性貧血、骨髄異形成症候群に伴う貧血に適応を有する持続型赤血球造血刺激因子製剤である。本剤はヒトEPO分子にN-結合型腎性貧血及び骨髄異形成症候群に糖鎖付加をすることで従来のEPO製剤よりも血中半減期を延長させたものであり、それまで患者の負担となっていた投与頻度を減らすことが可能となった。また、本剤による腎性貧血治療を効果的に行うため、鉄の補充について考慮する必要がある。
本剤は赤血球造血を刺激し,Hb 合成も亢進する。そのため鉄の必要量も増大するが、体内でHb合成に必要な鉄の需要量が供給量を上回る状態となる場合があり、このようなHb合成に利用できる鉄が不足した状態では期待した効果が得られにくい場合がある。このような場合は本剤投与に加え副作用発現が少ない経口鉄剤の併用が推奨されている。
鉄補充療法の開始基準はガイドラインより,「トランスフェリン飽和度(TSAT) 20%以下,および血清フェリチン濃度 100 ng/mL 以下」となっている。現代において、特に女性では鉄補充が必要である場合が多いため、本剤による治療を行う際は注目する必要がある。

担当者 糸井 菫
■ ネキシウムカプセル
平成29年1月10日(火)
[講師]アストラゼネガ
ネキシウムカプセル(一般名:エソメプラゾール)は胃壁細胞内にあるプロトンポンプと呼ばれる酵素の働きを阻害することで、胃酸分泌抑制作用を示すプロトンポンプ阻害薬(PPI)の一つである。ネキシウムカプセルは同じPPIであるオメプラゾールの一方の光学異性体であり、代謝におけるCYP2C19の寄与率がオメプラゾールより低い。そのため、オメプラゾールと比較して薬物動態及び薬力学作用の個人差が少ないという特性をもつ。ネキシウムカプセルは時間にかかわらず1日1回投与で24時間胃内pHを良好にコントロール出来、かつ食事による薬物動態の変動は臨床効果に影響を及ぼさないとされているため、食事、時間のタイミングを考慮しない服薬が可能な薬剤である。

担当者 高瀬 真依


■ 大建中湯
平成29年1月17日(火)
[講師]株式会社ツムラ
大建中湯は山椒、人参、乾姜の3種の生薬で構成されている。人参は、胃腸の働きを強めるなどの滋養強壮作用、山椒や乾姜には、体の冷えや消化機能を改善させる働きがある。いずれも食物由来であることから、安全に使用できる製剤とされている。お腹の冷えや痛み、張り(腹部膨満感)に効果があり、過敏性腸症候群患者の腸管内ガス量を減少させ、腹部膨満感を改善させるとのデータもある。そのため、臨床では便秘や腸閉塞(イレウス)によく使用されている。腸管運動亢進作用として、セロトニン3型、4型受容体を介したアセチルコリンの遊離促進が知られている。併せてアドレノメデュリン、COX-2を介して抗炎症作用を示すとのデータもある。副作用としては、間質性肺炎、肝機能障害、黄疸が挙げられるがいずれも頻度不明となっている。また当薬剤にはダイオウ(大黄)を含有していないため、耐性を生じにくいことからも比較的安全に使用できる薬剤であるといえる。

担当者 杉尾 悠


■ リバロ錠
平成29年1月24日(火)
[講師]興和株式曾社
リバロ錠は日本生まれの薬剤で、コレステロール合成の主要臓器である肝臓に選択的に分布することでコレステロールの合成段階の1つであるHMG-CoA~メバロン酸への合成過程に必要な還元酵素、すなわちHMG-CoA還元酵素を阻害することでコレステロールの合成を阻害する。さらにLDL受容体mRNA発現量の誘導により、血中LDL-コレステロールの取り込みを促進する。一方、このLDL-コレステロールの前駆物質であるVLDLの分泌も抑制することもわかっており、リバロ錠はあらゆる角度からコレステロールの合成を阻害する。
また、リバロ錠は10歳以上の小児における家族性高コレステロール血症に適応をもつ唯一の薬剤である。加えて、CYPによる代謝をほとんど受けないため、薬物相互作用が起きにくく、また糖代謝への影響が低いので、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤と比べて、糖尿病患者が服用しやすい。このように、あらゆる点から多くの患者に使用可能な薬であり、今後さらなる使用拡大が期待される。

担当者 国武 香奈


■ ヒルドイドソフト軟膏・クリーム・ローション
平成29年1月31日(火)
[講師]マルホ
ヘパリン類似物質を有効成分とするヒルドイドソフト軟膏・クリーム・ローションは高い保湿能や血行促進作用を有しており、現在皮膚科などの医療現場において広く活躍している。本剤はw/o製剤であるソフト軟膏、クリーム、またo/w製剤であるローションの3製剤があり、季節や使用部位等に応じて使い分けることができる。夏にはさっぱりとした使用感のローション、乾燥する冬には油分を多く含み被覆効果に優れたソフト軟膏あるいはクリームが適している。使用量の目安の一つとしてFinger Tip Unit(FTU)がある。これは成人の両掌を塗ることが可能とされる量を1FTU(約0.5g)とし、この基準により部位塗布時の使用量の計算が可能である。チューブの場合は成人の人差し指の先端から第一関節まで押し出した量、ローションの場合は1円玉大に出した量が1FTUである。
本剤に限らず、軟膏やクリーム剤等の過剰使用は薬剤の過剰投薬にもつながる可能性がある。したがって、適量使用を指導することは薬剤師として大切な役割であると考えられる。

担当者 糸井 菫