整形外科

診療内容

 整形外科は主に手足や背骨についての悩み(痛み、しびれ)に対して治療を行う診療科です。私たちが扱う分野は多岐に渡ります。

  1. 骨折、脱臼等の急性外傷
  2. 主に加齢による変性疾患 (変形性関節症)
  3. 代謝性骨疾患 (骨粗しょう症など)
  4. スポーツ外傷・障害 (靭帯損傷など)
  5. 腫瘍・炎症性疾患 (骨軟部腫瘍、関節炎、関節リュウマチなど)
  6. 各疾患に対するリハビリテーション

股関節専門外来

当院整形外科では、骨折などけがの患者様の他、股関節の痛みを訴える患者様が多く受診されます。股関節が変形する病気(変形性股関節症)に対して、人工股関節に入れ替える手術や、股関節の形成が悪い方(臼蓋形成不全症)に対して、股関節の形成を良くする手術(寛骨臼移動術)を行なっております。福岡市内でも有数の手術件数です。

臼蓋形成不全症とは

 生まれつき股関節の屋根の部分(臼蓋とか寛骨臼と呼ばれる部分)が小さい場合があり、これを臼蓋形成不全症と呼びます。乳幼児期の先天性股関節脱臼の治療歴がある場合もそうでないこともあります。女性に多く、両側例が多数みられます。骨頭と呼ばれる体重を支える部分が臼からはみ出しており(亜脱臼)、そのため不安定で、かつ小さい面積で体重を支えているため、負担がかかり痛みを生じます。

 放置すれば徐々に進行して、関節軟骨という骨表面の潤滑組織が磨耗し、骨がむき出しとなります。さらに骨が変形をおこし、球状ではなくなるため関節の動きも悪くなり、骨頭は屋根の欠損した外上方に移動し足が短くなっていきます(変形性股関節症)。

治療法

臼蓋形成不全があれば変形性股関節症へと進行するため、痛みがでれば手術が必要になります。臼蓋形成不全を補正するため寛骨臼移動術(あるいは寛骨臼回転骨切り術RAO)という手術を行います。この手術は病期が初期であればより効果的です。

変形性股関節症とは

 いろいろな原因で股関節の関節軟骨が擦り切れ磨耗して軟骨下の骨が露出しこすれあう病態です。さらに骨頭や臼蓋の周辺部に骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨が作られ、関節が徐々に変形します。原因で一番多いのは臼蓋形成不全症によるものです。ほかにも脱臼骨折などの外傷後や大腿骨頭壊死症によるものなどがあります。

 病気が進行すれば歩行時だけではなく安静時も痛むようになり、杖なしでは歩行できなくなります。動きもだんだん悪くなり、靴下を履いたり、足の爪を切ったりすることが難しくなります。末期となれば人工股関節置換術が必要となります。

治療法

病気の進行を予防するため(末期股関節症とならないように)、それぞれの病気に応じた治療が必要です。臼蓋形成不全があれば寛骨臼移動術(寛骨臼回転骨切り術)、骨頭壊死症であれば転子間回転骨切り術、内反骨切り術などの治療により、進行防止が可能です。やむなく末期股関節症となれば、人工股関節置換術の適応となります。

人工股関節術について

 人工股関節置換術は除痛効果に優れ、また関節可動域(関節の動く範囲)が改善し、さらには足の長さをそろえることが可能となります。術後の回復が早く、早期の退院、社会復帰が望めます。多くの人が2ヵ月後には杖なしでも歩けています。最近では症例に応じて7~8cmの小切開で手術が行われ、更なる早期の回復が期待されます。全国で年間約3万例の手術が施行され、年々増加傾向にあります。

 人工関節の素材やデザインの進歩により耐久性の向上が期待されていますが、長期成績は不確実であるため、活動性の高い青壮年期には積極的には行われません。そしてこの手術を受けた場合、人工関節のゆるみがないか年1~2度の定期検診が欠かせず、ゆるみを生じれば再手術が必要となります。また術後脱臼の問題もあり、慎重な手術適応が望まれます。

大腿骨頭壊死症とは

 大腿骨頭の虚血により大腿骨頭の骨壊死を生じ、壊死部の陥没がおこれば関節面に不整が生じ、関節の不適合がおこります。徐々に骨頭は亜脱臼し、関節軟骨が磨耗し変形性股関節症へと進展します。大腿骨頚部骨折や脱臼などの外傷後におこる場合や原因が不明(特発性(とくはつせい))の場合があります。ステロイドホルモンの使用やアルコール多飲が誘因となることもあります。子供におこることもあります(ペルテス病)。

治療法

体重がかかる部分に壊死があれば病期の進行は避けられないため、骨頭内に残る正常骨で体重を支える必要があります。骨頭の後方、前方、あるいは外側に健常部があれば頚部で骨切りすることで荷重部を再建することができます(前方あるいは後方回転骨切り術、内反骨切り術)。病期が進行していれば人工股関節の適応となります。

小児の股関節疾患

ぺルテス病

小児の大腿骨頭壊死症で男子に多くみられます。年齢が若いほど(8歳以下)治りがよく、年長者では骨頭の変形(扁平骨頭)を生じ、脚短縮や股関節の動きの制限を残す場合があります。将来変形性股関節症となる恐れがあります。

治療法

治療は壊死した骨が変形なく直るようにすることです。治癒するまで体重が過度にかからないよう坐骨支持の免荷装具をもちいます。場合によっては手術療法を行います。

大腿骨すべり症

大腿骨頭の骨端線(成長軟骨板)の障害でその近位骨端部が後方にすべりおちた状態です。10歳から14歳の、肥満傾向の男子に多くみられます。約20%は両側におこります。股関節の痛みと跛行がみられ、股関節の内旋(うちにひねる動作)ができなくなります。股関節側面のレントゲン写真が診断に重要です。

治療法

治療の第一はすべりの進行を防止することで、後方にすべった骨端部を釘で固定します。成長に伴いすべった骨端部の自家矯正が期待されますが、すべりが高度の場合は骨切り術で矯正する場合があります。骨端線が閉鎖するまで、そして骨端部の壊死や関節軟骨融解といった合併症がおこらないか注意深く診ていく必要があります。