薬剤師の取り組みについて

 当院における最近の取り組みについてご紹介します。病院薬剤師として取り組んでいること。

 当院は福岡市西新に位置し、37診療科、一般病床239床の急性期病院です。昭和39年、医療法人大成会を開設し、地域救急医療の中心的役割を担ってきました。最近では、臨床研修指定病院、電子カルテ導入、DPC対象病院(平成18年度)、医療機能評価(Ver5.0)を取得し、平成20年11月には県内初の社会医療法人として認可を受けました。社会医療法人の特徴としては、医療計画における5事業(救急・小児・へき地・災害・周産期)、つまり公益性の高い医療を担っていくことが求められています。

 また、特定健康診査・特定保健指導制度の開始に合わせて平成19年11月に福岡中央総合健診センターを開院いたしました。こちらではPET−CTの導入に伴い、通常の健診と組み合わせることで、診断の精度及びがん発見率があがりました。平成21年2月からはインドネシアから看護師(5名)を受け入れています。平成21年5月よりICUが稼働開始しており、薬剤師も常駐しています。

 ここ数年、医療を取り巻く環境は激変し、薬剤師の役割も多岐にわたって求められる中で当院薬局の最近の取り組みについて紹介いたします。

福岡記念病院概要(239床)

  • 平均在院日数 13.6日
  • 薬剤師 23名(2交代制)(AST専従薬剤師、健診センター常勤薬剤師含む)、薬局事務2名
  • 処方せん 320枚/日(外来:140枚/日 入院:180枚/日)
  • 院外処方せん発行率:10%
  • 注射せん 300枚/日
  • 薬剤管理指導 850件/月
  • チーム医療への参画 (ICT・褥瘡・NST・糖尿病教室・医療安全管理・AST)
  • TDM、DI業務
  • TPN、抗がん剤無菌調製
  • 放射性医薬品製造・合成
  • 学生実習受け入れ  6名/年

病棟薬剤師の常駐

 2007年6月より医薬品の安全管理及び薬剤管理指導業務の合理化を図るため1病棟1薬剤師の終日配置を行いました。主な業務内容は以下の通りです。

内服・外用薬のセット

 薬剤の管理は、・本人・ベッドサイド・ナース管理の3種類に分け、薬剤師による与薬カートへのセットを行っています。

注射薬の振り分け

 電子カルテ導入時、注射認証バーコードシステムを導入しました。具体的には入院時、患者様にバーコード付きリストバンドを巻いて、注射薬それぞれにバーコード付きラベルを貼付、注射施行時に①患者バーコード②注射バーコード③注射施行者(医師・看護師)の3点をスキャンする事により患者誤認防止につながっています。
また、注射薬の手技、ルート、相互作用、配合変化、投与順序の確認、点滴時間の振り分け等を行っています。薬剤師が関与する事で病棟でのメディケーションエラーの減少につながっています。

救急カート及び病棟配置薬の管理

医療機能評価(Ver5.0)受審時に救急カート及び病棟配置薬の品目数及び種類を整理いたしました。現在は病棟薬剤師が毎日使用薬剤及び定数の確認を行っています。

消毒薬の管理

病棟毎の使用量を月毎に集計し、消毒薬の適正使用を図っています。

持参薬の鑑別

入院患者全てを対象に持参薬の鑑別を行っています。薬剤鑑別の効率化を図るため、先発医薬品を対象に薬剤鑑別報告書の雛型を作成いたしました。
また、これによって薬剤師としての経験を問わず、どの薬剤師が鑑別しても同じ薬剤鑑別報告書の作成と鑑別時間の短縮につながりました。
更に電子カルテと連動する事で薬剤鑑別報告書を電子媒体で保管できるようになりました。

薬剤管理指導

3か月ローテーションで病棟を持ち回りにしています。現在、病薬・薬薬連携の強化も含め退院時情報提供に取り組んでいます。また、チーム医療の一員として回診、カンファレンスへも積極的に参加しています。

放射性医薬品(FDG)の製造・合成

 がん細胞は正常細胞の3~8倍ブドウ糖を取り込む性質があります。これを利用したのがFDG−PET検査です。FDGとはFluoro(フッ素)Deoxy(還元)Glucose(ブドウ糖)の略でブドウ糖(グルコース)に18Fという陽電子放出核種を結合させたものです。半減期が110分と短いため検査日毎に医薬品を製造・合成する必要があります。

 当院では薬剤師が放射性医薬品の製造・合成及び検定を行い品質保証しています。がん患者が増加する現在、健康診断等による早期発見・早期治療が重要とされています。